Wednesday, June 10, 2015

[中小企業診断士] 診断士とMBAのどちらを取得すべきか

今後のキャリアアップのために、中小企業診断士とMBAのどちらを取得すべきか。答えは当たり前ですが「その人による」です。それぞれ特徴があり、自分の人生にとって必要なのは何によって得られる要素なのか、それに時間やお金をかけて取り組む価値があるかを考えるべきです。

まずは中小企業診断士の特徴は、
1.学習を通して得た知識を活かして仕事の幅を広げられる
今まで特定の分野で仕事をしていた人が、経営に関する基礎的な知識を一次試験の7科目の学習を通して身に着けることができます。それにより、例えば財務会計の科目で学んだことを活かして取引先の財務諸表を見たり、経営情報システムでの知識を活かしてシステム改善のプロジェクトに参加したり(当然最初は参加者のひとりという位置づけ)、経営法務で学んだ知識をベースに取引先との契約内容すり合わせをしたりと、資格取得に至るかは別として、真剣に取り組めば少なからず上記のような職場に転がっている機会を掴み、仕事の範囲を広げられる可能性はあると思います。仕事の範囲を広げ、社内での希望の部門への異動や転職に繋げられれば時間やお金をかけて勉強した価値は十分あるし、逆に勉強だけして満足していたら時間とお金の無駄です。ただ、経済学は、私も苦手な科目のひとつでしたが、自身の経験上勤務した事業会社、外資・日系のコンサルティング会社での勤務で知識が役に立つ機会はありませんでしたので、必ずしも全て同様に自身の仕事に役立つとは言えない部分もあるとは思います。

2.公的な機関から中小企業支援の仕事を得やすくなる
今度は診断士として開業して仕事をする場合ですが、よくネット上で言われているのが、公的資格とはいえ、弁護士、会計士、税理士等と違って法的な独占業務がないため、努力して取っても意味がない、それだけでは食っていけない等です。確かに、中小企業診断士の資格を持った人だけに開放された一定の市場があるわけではありません。一方で、商工会・商工会議所等の中小企業支援機関、地方自治体等において専門家による経営相談や専門家を企業に派遣する中小企業支援施策が用意されていますが、その専門家募集のページでは、「中小企業診断士資格を保有していることが望ましい」と記載されていることも多いです。中小企業診断士資格の有無に関わらず経営コンサルタントを名乗りそういった経営の助言を行う業務を行うことはできますし、実際に既にどこの地方自治体で○○アドバイザーをしているといった経歴がよりものをいうことは確かですが、一番最初に仕事を取る際には資格があった方が有利といえると思います。支援機関や地方自治体でも、その看板を背負った経営相談員や派遣される専門家の一定レベルの質を担保しなくてはなりませんし、その判断のよりどころになるものだと思います。

3.国際協力の分野での活躍も期待できる
また、あまり知られていませんが、国際協力の分野で、日本のODAを財源とした、JICAやHIDA(一般財団法人海外産業人材育成協会)等の活動のなかで、海外の中小企業産業振興や中小企業人材育成を目的としたものも多くあり、そこでの活躍の機会も考えられます。JICAやHIDAはタイやインドネシアで中小企業診断士の育成を行っており、そこでも日本の中小企業診断士が活躍していました。また、JICAが2012年から開始した、日本の中小企業の海外進出を支援し、それを以て進出先国の経済発展・人材育成に寄与するという「中小企業海外展開支援事業」においても、中小企業診断士の活躍の機会は多いと思います。海外の大学院で開発学を専攻し国際協力の分野に関わる人も多いですが、中小企業診断士資格の取得も国際協力に関わりたい人にとっての入口のひとつになると思います。国際協力機関で働く人は支援先国との調整役となることが多いと思いますが、診断士は現場で現地の人に根気よく指導する立場を期待されることも多く、より現場に近い場所で関わりたい人には理想的とも言えると思います。下記リンクのように中小企業診断士の経験を活かして、国際協力に携わって本を出版されている方もいます。
元JICA専門家 中小企業診断士 298日間の海外支援奮闘記
中小企業診断士による国際協力の機会についてはあまり知られていないことですが、これを知って診断士を目指し、国際協力の分野で活躍する若手が多く出てくるといいなと思っています。

4.診断士同士の横の繋がりができる
参加するしないは自由ですが、中小企業診断協会という診断士が集まる協会もあります。様々な研究会活動があり、診断士同士の横の繋がりができます。自身の経験上、いわゆる大企業で幹部として働いている人、働いていた人も多く、そういった会社の話を聞けたり、そういった人と一緒に仕事をすることでその人のコネクションが仕事に生きることもあると思います。

一方、MBAについては、私自身が取得しているわけではないので、人から聞いた話として簡単に紹介するにとどまってしまいますが、
1.英語での経営に関する議論ができるようになる
海外MBAの場合、授業は全て英語で、様々なケーススタディを通してクラスメートとの議論も行うことになりますので、必死に頑張れば卒業する頃には初めて訪問した海外の会社などとも英語で経営のハイレベルな議論をすることができるようになります。

2.世界中からの優秀なビジネスマンとのコネクションができる
世界中の有名企業から幹部候補生として派遣されている人などと、一緒に議論をしたりグループワークをしたりと密なコミュニケーションをするなかで、強いコネクションができます。卒業後も互いの国の企業を紹介しあったりと、コネクションが自身のビジネスにも生きます。

中小企業支援・国際協力に近づける、協会に参加すれば国内での横の人脈もできる中小企業診断士。中小企業診断士は、働きながらでも取得は可能です。海外人材としての即戦力+グローバルな人脈が得られるMBA。MBAは会社を辞めるか休むかしなければならない分よりハードルは高いですが、その分自身のキャリアをグローバルな方向に一気に転換させる強力な経験値を得られます。どちらも自己啓発にはなるものの、それ自体を目的とするにはかける時間とお金がもったいなさ過ぎます。なんとなくの憧れを持つだけでなく、目指す目的を自分なりに定義づけたうえで、取り組めば必ずその後の人生に有意義なものとなると思います。転職に関する投稿でも書きましたが、どちらも将来を見据えてその道具として打算的に活用していくものだと思います。

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